夏の暑さから徐々に秋の陽気に変わって来た頃。
ツワブキダイゴは珍しくトクサネの自宅に戻っていた。


「そろそろ厚手の服でも用意しておこうかな。」


ストーンゲットの為に潜り込んだ洞窟で、ふと思い立ち、
来るべき秋から冬にかけての防寒対策の為に一時撤収を選んだのだった。

つまり、冬支度を万全にし、またしばらく自宅に戻らない気満々らしい。


「さて・・・」


大方の準備を終えたのは正午を少し過ぎた頃。
今日一日くらい家でのんびりとコレクションの手入れでもしようか、

と思っていた矢先、


「ダイゴさ――――――――んっ!!」


のんびりとした正午を打ち壊す大音響が響き渡った。
大音響・・・・もとい声の主は分かりきっている。
ダイゴは苦笑しながら扉を開けた。


「やあ、 ちゃん。」

「こんにちわっ!」


キラキラと瞳を輝かせて玄関に立っているのは
父親共々、気にかけていたトレーナー。

しかし、何がお気に召したのか、 はダイゴにすっかり懐いてしまったらしい。
いや、懐いたというよりは、ベッタリ。

例えるなら、昼寝時にウトウトしているライオンの親に、
ライオンの子が「ねぇねぇ、遊んで?構って〜?」とあれこれちょっかいかけるように。
案の定、 は早速ダイゴの背中にベッタリ張りついて離れない。

『ダイゴさんダイゴさん』と張りついている と、
『今日はどうしたの』と、特に嫌がる様子もなく穏やかにお茶を用意するダイゴは、
恋人のようにも、仲の良い兄妹のようにも見える。

――どちらかというと後者の方が優勢。


「今日バトルフロンティアに行って来たんです。」

「ボクも聞いた事があるよ。強いトレーナーが集まっているらしいね。」

「みんな強かったです。」


ダイゴさんの方が強かったですけど!
紅茶のカップを片手に力説する
ダイゴはありがとう、と の頭を撫でる。

別に慰めではない。
確かに強いトレーナーは多いがダイゴ程ではない。
りゅうせいの滝で繰り出されたメタグロスには散々殲滅された。


「ダイゴさんも行ってみません?」

「バトルフロンティアか・・・」

「マルチバトルもあるんです!」


ダイゴと一緒にマルチバトル。
それはここ最近の 野望夢だった。

「一緒に行こう」という の縋るような視線。
耳を伏せて様子を伺う子犬のようなその仕草は大変愛らしく、
お兄さん気分のダイゴとしては可愛い妹にねだられているようだった。


「・・・そうだね。たまには本気でバトルしてみるのも良いかも知れない。」

「本当ですか!?」

「うん。 ちゃんと組むのもトクサネの宇宙センター以来だしね。」

「やったぁ―――っ!!」


ダイゴさん大好き―――っvv
さり気ない大告白を織り交ぜてダイゴに抱きつく
ダイゴは危うく手に持ったカップを取り落としそうになりつつも、
しっかり を受け止め「頑張ろうね」と微笑みを見せる。
もそんなダイゴにより一層嬉しさを掻き立てられ、小動物のように擦りよっては甘える。

そんな様子を某都市のジムリーダーな パパが見たらどうなるだろう。
ダイゴと、娘の全権を賭けたバトルになるだろうか。
はたまたそうなる前に最愛の娘によって返り打ちに遭わされるだろうか。
実力的にどちらにも勝てそうもないパパに幸あれ。







***






そしてなんだかんだでやって来たバトルフロンティア。

早速、どこから現れたのか黒眼鏡のエニシダに意味深な笑顔でもって迎えられつつ、
とダイゴの本人等存ぜぬ最強タッグがフロンティア荒らしとして参入。
「新しい売りになるなぁ」とエニシダが呟いた言葉は とダイゴの耳には届かなかった。



しかし、謀らずして、エニシダの言葉は現実となる。

とダイゴ。
余裕でチャンピオンクラスの実力を持つ2人が参戦すれば注目を集めるのは当然で。

バトルドームでは、圧倒的大多数の観客が 派、ダイゴ派、 ・ダイゴ派に割れた。
熱狂的なファンの波に、ダイゴは を庇うように手を引いて「しばらくここには近寄っちゃ駄目だよ」と、
そそくさとバトルドームを後にした程だった。


の目的だったバトルタワーも、
当然 とダイゴはタッグを組んでバトルに参加し、着々と駒を進めシンボルを獲得した。
もはや向かう所敵なしだ。

ちなみに、フロンティアブレーンの1人であるリラに大変気に入られたらしい が、
今度自分とタッグを組んで欲しいと頼み込まれている所を、ダイゴが慌てて連れ帰った。
その様は『ウチの子になにするんだ』的なものだったらしい。

その時の は焦るダイゴを他所に、抱え上げられたのが大層嬉しかったらしく、
いつも通り「ダイゴさーんv」と抱きついて甘えていた。


そんなこんなで、
ファンの波を交わし、捲き、あるいは 力に物を言わせ、なんとか一息つける所までやって来た。
人ひとり抱えて走りまわったダイゴは流石に少し疲れたらしく、草むらに腰を下ろす。
同時に下ろされた の「すごいですね!」の言葉に少し微笑むとそのまま横になった。


「本気で走ったのは久しぶりだよ。」

「ありがとうございました!」

「どういたしまして。でもしばらく・・・」

「はい、しばらく気をつけます。」

「特にドーム辺りでは。」

「はい!」


それから少しして、ダイゴをじっと眺めていた が突如、膝枕をすると言い出し、
遠慮するダイゴを押し切って膝を提供した。


「でも、楽しかったね。」

「楽しかったですね。」


ほのぼのと癒しオーラを発散する。

しばらくしてダイゴが浅い眠りに入った頃、
はしっかり デジカメにダイゴの寝顔を収め、大事なものポケットにしまった。
「一生の宝物にするから」とダイゴのモンスターボールにいるメタグロス達にも許可を貰った。

は思わずふにゃっと顔が綻んでしまいながらも、
ダイゴの眠りを妨げるモノがないようしっかり周囲に気を配る。
時々こっそり髪を撫でてみたり梳いてみたりしながらも、忠実な番犬のごとく。





ちなみにその光景はバトルフロンティアオーナーの手によってカメラに収められ、
バトルフロンティアの紹介欄にデカデカと掲載された。

タイトルは



『最強トレーナー達の憩い!』




それからしばらくバトルタワーにカップルで挑むのが流行ったが、


流行を作った当の本人達は、
りゅうせいの滝で石の発掘に勤しんでいた為知る由もなかった。
















04.10.17

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+あとがき+

浬さんに『エメラルドのページ作るからなんかくれ。』
と恐喝された為、献上させて頂きました。

最初は主人公超攻だったんですけど・・・ね。
なんか「ダイゴさん可哀想だよ!」とダイゴさん愛が勝ちました。
ダイゴさんを大切にし隊!(口ばっか星人)
でもちょっとだけダイゴさん受けっぽく・・・ないね、ゴメン。

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ありがとう幻想夜さん!!
膝枕万歳☆
私は夢(寝てる時見る方)でダイゴさんに膝枕してもらったことがあったりしますが。
(ホント都合の良い夢見るのが得意で・・・)

お礼にリクエストしてもらったダイゴさん&ボスゴドラは勝手にもらってってくださいませ。

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